本
上西先生の呪いの言葉本を読んだ。ご自身の原発反対運動へのかかわりから、ここ最近の裁量労働制をめぐるデータ偽装の話まで書かれている。何かを封じ込めようとする動きに対して、勇気付ける言葉も紹介している。ジェンダーの問題も逃げ恥などとリンクして…
仲村和代・藤田さつき『大量廃棄社会』光文社、2019年。新聞記者の取材にもとづく。アパレル、コンビニ食品の大量廃棄などがテーマで、大量消費の実態に迫る。テーマは広いが具体例が豊富なところがよい。各テーマも短くトピック的にまとまっている。 生地や…
齊藤孝浩『アパレル・サバイバル』日本経済新聞社、2019年。アパレル関係の商機を、これまでのオンシーズンだけではなく、オフシーズンにも着目する。たとえば、オフシーズンには、クローゼットがいっぱいでクリニーングが必要。きれいにクリーニングできれ…
コンビニ加盟店ユニオン、北健一『コンビニオーナーになってはいけない』旬報社、2018年。セブンイレブンオーナーを中心に本部との取引関係の実態を明かしている。フランチャイズ契約において、かつての酒屋さんからの転身などは減少し、脱サラ型が増えてい…
郝仁(ハオレン)編『ストする中国』彩流社、2018年。2010年以降頻出する中国工場におけるストライキの主体にインタビューし、その内容を記録したもの。賃下げ、労働条件引き上げ、2つのパタンに整理している。 最低賃金の引き上げに対し、福利厚生を引き下…
姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』文藝春秋社、2018年。東大生らによる女性集団暴行事件を手がかりに着想された小説。あくまで、フィクションだが、実在の事件を相当意識した中身となっている。主人公は二人。東大在学中の男性と、女子大在学中の女性。小…
金子雅臣『壊れる男たち』岩波新書、2006年。女性相談室に訪れたセクシャルハラスメントの案件を具体的に紹介し、被害者と加害者の事実認識の見事なまでの隔たりを指摘する。複数の事例で加害者の男性が、職場における優越的な立場をわきまえず、対等な恋愛…
プラド夏樹『フランス人の性』光文社新書、2018年。フランス在住のジャーナリストがフランスの性教育、カップルや性的関係などについて、実体験をもとに文章化したもの。フランスのカップル概念には、結婚という制度に挟まれた「繁殖のための同居」を否定す…
鶴原吉郎『EVと自動運転』岩波新書、2018年。本書は電気自動車や自動運転の動向を自動車産業におけるサービス化ととらえる。ハイブリットエンジン後発国の中国は電気自動車にターゲットを絞る。環境規制が厳しいEUを背景にフォルクスワーゲンは、中国市場に…
牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』集英社、2013年。キャッチなタイトルとは裏腹に、本書ではハラスメント事案がどのように生ずるのかを、かなり丁寧に説明している。上司と部下、教員と学生などのように上下関係がある。その場合に表面上は嫌とは…
北川慧一ほか『非正規クライシス』朝日新聞出版社、2017年。朝日新聞の連載記事をまとめた本。非正規労働者の高齢化(不本意型非正規労働者の問題)、官製ワーキングプア、同一労働同一賃金、最低賃金などのトピックを扱っている。各章とも、取材に基づくル…
横田増生『ユニクロ潜入一年』文藝春秋社、2017年。筆者は物流関係のジャーナリスト。ユニクロに批判的な書籍を出版し、ユニクロから訴えられた経験をもつ。訴訟自体は、事実関係に相当程度の根拠が認められるとして、ユニクロ側主張は退けられる。つまり、…
藤本隆宏『現場から見上げる企業戦略論』角川新書、2017年。モジュール型産業台頭で日本企業は競争力を失っている。ただし、日本産業の生き残る道はある。それは、プラットフォーム企業に対する強力な補完材を提供することである。たとえば、村田製作所はセ…
松井洋一郎『まちゼミ』商業界、2017年。愛知県岡崎市ではじめた、まちゼミの実践が紹介されている。商店街のメンバーが、開店時間のなかで、ミニ講座を開く。直接商売につなげることは、ここでは御法度。例えば、文房具やさんが筆の使い方の講座を持つ、あ…
打越さく良『レンアイ、基本のキ』岩波ジュニア新書、2015年 。筆者は家庭内暴力やデートDVに関わる弁護士。恋愛は束縛とは違う。相手を思うことと、支配することは別。自立していきることが大事。場合によっては恋愛しなくてもよい。こうしたことが具体的に…
杉原淳一・染原睦美『誰がアパレルを殺すのか』日経BP社、2017年。一気に読んだ。百貨店における売上げの低迷、長時間労働による店舗スタッフの労働力不足などの問題を手がかりに、アパレル業界の問題点を分析している。中国生産に過剰に依存してきたことへ…
小川洋『消えゆく限界大学』白水社、2017年。筆者は教育ジャーナリスト。大学の関係者ではない。その分、定員割れに至る私立大学の特質を手際よく分析している。短大から四年制大学に移行したものの、四年制大学にふさわしいスタッフが集まらない。何より同…
田中俊之『男がつらいよ』角川書店、2015年。いわゆる男性学の本。男性がおかれる眼差しに注目する。軽いタッチで読みやすい。所々に出てくる時事ネタへのつっこみも笑える。本書を読むと、筆者の講義が人気あるというのも、うなずける。参考文献があると初…
金成隆一『ルポトランプ王国』岩波書店、2017年。米国の大統領選挙。ラストベルトとよばれる衰退した工業地帯で、トランプの支持層が多いことに注目し、工場労働者たちに取材をする。没落する中間層の不満を救い上げたのがトランプであるというのが本書の主…
大内裕和『奨学金が日本を滅ぼす』朝日新聞社、2017年。奨学金ニーズの高まりの背景に、家計所得の低下、学費の高騰、高卒就職先の悪化などがあることを指摘。あわせて、日本の教育費用の私費負担が高い点が、貸与型奨学金拡大の要因であると主張している。…
名作『どろぼうがっこう』を30年ぶりくらいに読んだ。少しまぬけなどろぼうがっこうの生徒と先生。校長先生、はっきりいって遠足のリサーチ不足。実踏したほうがいいよ。図書館で続編を発見して、続編があることをはじめてしった。新たな発見の連続。筆者の…
中島弘象『フィリピンパブ嬢の社会学』新潮社、2017年。フィリピンパブを研究することになった大学院生の実態レポート。偽装結婚による滞在、ピンはねしてもうけるブローカーの存在、フィリピンの経済時事的などが、生き生きと語られている。本書の最大の売…
熊谷徹『日本とドイツふたつの「戦後」』集英社新書、2015年。ドイツ在住のジャーナリストによる本。歴史認識、経済政策、エネルギー政策などのトピックごとに日本とドイツの相違を比較する。シュレーダー政権のハルツ改革の評価が甘く、やや表面的な分析に…
増田寛也編著『東京消滅』中公新書、2015年。高齢化社会の到来に対して介護施設が足りない。それに対し、本書は外国人技能実習生の活用、介護労働者の処遇改善に加え、高齢者の地方移住を説く。高齢者の移住を強制するのであれば、それはうばすて山ではない…
海老原嗣生『お祈りメール来た、日本死ね』文藝春秋、2016年。日本型雇用と欧米型雇用の違いを多様な角度から分析。フランスが、教育体系に基盤を持つ事実上の階層社会であることを踏まえて、日本にあった現実的な改善点を提言。欧州の長期実務型インターン…
同世代の若手研究者の力作2冊を読む。いずれも、標準的なライフコースとは異なる経路をたどる若年労働者の主体性を主要なテーマとしているが、対象とする労働者層が男性と女性でかなり異なる。地域で主体となりうる若年層は案外、ネットワークのあるヤンキー…
小川さやか『「その日暮らし」の人類学』光文社、2016年。タンザニアの露店商や中国の違法コピー商人の生活実態に焦点をあてる。個人の信頼にもとづく取引がインフォーマル経済のベースにあると指摘する。私たちはインフォーマル経済からフォーマル経済への…
定期的に執筆時間を確保せよ、という本。ユーモアがあって読みやすく楽しい。さすが心理学者。できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)作者: ポール.J・シルヴィア,高橋さきの出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/04/08…
ある本を読んでいて、考えることが多く、なんらかの発信をしようと考えたが、中途半端であるのでやめた。全部読んでもう少し考えて、整理をできたら書く。時間がかかるけど、しょうがない。この問題は、自分の体に潜んでいる悪い部分、消化しきれていない部…
地元本屋をぶらぶらしていたら、スポーツコーナーで『オールアウト(増補版)』を発見。思わず「え!?」と声を上げた。この本は1996年の早稲田大学ラグビー部の1年間をおったルポタージュ。関係者が多く登場する。高校生当時、むさぼるように読んだ。今も本…