横田増生『ユニクロ潜入一年』文藝春秋社、2017年。

 横田増生ユニクロ潜入一年』文藝春秋社、2017年。筆者は物流関係のジャーナリスト。ユニクロに批判的な書籍を出版し、ユニクロから訴えられた経験をもつ。訴訟自体は、事実関係に相当程度の根拠が認められるとして、ユニクロ側主張は退けられる。つまり、スラップ訴訟としての性格が濃厚だった。その筆者が、幕張や新宿などのユニクロ店舗で実際にアルバイトとして働き、その内容をまとめた。
 途中で中国やカンボジアの縫製工場の取材内容も紹介されるが、あくまでメインはユニクロ店舗の潜入取材。前著以降、ユニクロから出入り禁止を宣告されている筆者は、妻の苗字に変更するという技で合法的に潜入する。その意気込みはすごい。
 潜入取材といえば、古くは自動車絶望工場がある。最近では趣旨は異なるもののNHKのボス潜入などがある。本書ではそれら現場潜入ルポの強みが遺憾なくはっきされている。「柳井社長こそ現場で働いたほうがいい(現場を知れ!)」という強力なメッセージ。研究書とは異なるタイプの本だが、その分よみごたえがある。

ユニクロ潜入一年

ユニクロ潜入一年