牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』集英社、2013年。

 牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』集英社、2013年。キャッチなタイトルとは裏腹に、本書ではハラスメント事案がどのように生ずるのかを、かなり丁寧に説明している。上司と部下、教員と学生などのように上下関係がある。その場合に表面上は嫌とは言えない。あるいは、言いにくい。そんなすれ違いを、男性は恋愛感情と錯覚する。過去の裁判例では、男性はハラスメントなんてしていない。女性の主張は嘘っぱちと捉えがち。けれども、それは問題の事実を自分の主観から解釈したものに過ぎない。女性の側からは断れない、問題化したくない。そんな心理があるが、男性にはそれが全く見えない。そのあたりの決定的な認識のズレがハラスメントを生む。本書では全般的にセクハラと表現しているが、そのほとんどは権力関係をもとに行使される内容が含まれている。たから、ハラスメントとはなにかを理解するのに役立つ本だと思う。

部長、その恋愛はセクハラです! (集英社新書)

部長、その恋愛はセクハラです! (集英社新書)