本田浩邦『長期停滞の資本主義』大月書店、2019年

 年末年始に読んだ、本田浩邦先生の『長期停滞の資本主義』大月書店、2019年、面白かった。消費不況などの構造的問題から、基本所得構想に踏み込む。二重構造、日本型雇用を変革する武器として、ベーシックインカムに注目している。ベーシックインカム自体は様々な媒体で論じられている。けれども、この本では、資本主義の構造問題に引きつけ、財源はもちろん、農業政策や中小企業支援にも議論を広げている。目が見開くというか、新たな視野が広がる感覚がした。

 筆者がこの問題を最初に扱ったのは、数年前のとある雑誌の論文だったと紹介されている。実はその雑誌論文も読んだ記憶があるが、そのときの感覚と、全く違う。当時は少し掘り下げ方が弱いかなと思った。今回はそういった感覚はまったくない。

 

長期停滞の資本主義:新しい福祉社会とベーシックインカム

長期停滞の資本主義:新しい福祉社会とベーシックインカム

  • 作者:本田 浩邦
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2019/07/15
  • メディア: 単行本
 

 

 

ちょっと胸がいっぱい

 もうすぐ4年生のゼミも、終わる。卒論を自立して取り組めた人が多かった。合同ゼミも、最後は楽しかった。あっという間だったという感想も。互いを思いやり、笑いが絶えない。お互いの関係がとてもよい代だったと思う。2年半でよく成長したと思う。

 ある意味でゼミの到達点。これを超える人間関係つくるのは、難しいかもしれない。遺産を引き継ぎ、磨きあげる。それが、できるかな。4年生の振り返りの話を聞いて、ちょっと胸がいっぱいになってしまった。

鴻上尚史さんの岩波ジュニア新書

 鴻上尚史さんの岩波ジュニア新書読んでるけど、面白い。世間と社会。これを切り口に空気や、ことわりにくさを語る。ソフトで研究者にはない読みやすさ。紋切り型ではない。留学とか、テレビ番組での討論とか、実体験にもとづくからかな。あと、世間体気にする日本を、相対化しつつも、その中で生き抜く術も語る。このあたりが、紋切り型の!?研究者が書いた本とは違うのかな。

 田中俊之さんのジュニア新書も、研究者が書いた本としては、超絶読みやすいと思うけれど、統計とかデータとかまじめに紹介する。研究者としては、至って当たり前で誠実な態度。そしてそれは、基本的に正しい姿勢。でも、鴻上さんの本と比べると固くなる。

 

 

個別論文コメント終了

 3週にわたる個別論文コメント終了。書きっぱなしではなく、中身を精読しながら議論をし、修正する。この時間が十分に取れれば、改訂作業も意味ある。学生数に対して、教員が1人しかおらず、コメント準備する時間が取れていない。卒業するまでにこの作業を組み込めるようないい案がないものか。成果が出れば嬉しいけれど、まずはプロセスが大事。自分の文章に向き合って、磨きをかけていく。往復作業があればこその磨き上げ。でも何度でも言うけれど、時間が十分に取れない。

人生3段ロケット法

 今朝の日経。伊藤元重氏。理論経済学と思いきや現場を行き交うウォーキングエコノミスト。きっかけは、英国留学中に知り合った森嶋通夫氏。人生3段ロケット法。若いときのエネルギーを持続することは難しい。何回か古いロケット切り離し、新しいロケットに点火する。これに影響をうけ、現場調査もするようになったという。意外な印象。

 伊藤元重氏の話で欠けているのはご家族や子育てなどの話。ご家族いるのか、承知していないけれど、仮にそうだとすれば、ロケット3段法で、自分のやりたいことを制約なく選択できることは、幸せなことだ。この世代も含む上の世代はノーベル賞受賞者も、妻に感謝のコメント多いが実情はいかに。

話を聞くはずが、自分が話を聞いてもらう

 昼前に学生の論文コメント。その後流れで珍しく昼食を一緒にした。進路など色々なことを話しているうちに、自分の現在の得体の知れない不安の話になり、話を聞くはずが、自分が話を聞いてもらう、という転倒した姿になった。でも、ありがとう。そして、ごめんなさい。

 20代後半や30代前半で抱えている悩みや問題とは質的には違うのだけれど、それでも結果オーライというところはある。初めから直線に進むのではなく、迂回をしながら、回り道をしながら、結果として軸が定まっていく。そんな話をしていたと思うのだけれど、それは翻って自分の問題でもあった。

 専門性を担保する、人間関係を構築する中で、新たなテーマの幅を広げる。その両面が必要だけれど、広げた風呂敷をたたんでいくタイミングも必要。後から見れば、それは軸を固める1つの作業と思えても、今のこの瞬間にはそれが見えない。当事者にはそれが分からない。もがいているのは、自分だ。

 大学院進学。勉強する意欲と経済的な余裕のある学生に対し、大学院進学を確保できる環境も作っていきたい。研究者養成大学で研究に専念する。そのための受験勉強と準備を学部時代にする。そのルートは現時点で整備されていないけれど、それを作って行きたい。それが翻って、自分の活きる道につながる。