大内裕和『奨学金が日本を滅ぼす』朝日新聞社、2017年。

 大内裕和『奨学金が日本を滅ぼす』朝日新聞社、2017年。奨学金ニーズの高まりの背景に、家計所得の低下、学費の高騰、高卒就職先の悪化などがあることを指摘。あわせて、日本の教育費用の私費負担が高い点が、貸与型奨学金拡大の要因であると主張している。親世代と子供世代の認識のズレも指摘している。中京大大学に赴任した当時の演習での経験が、学生が主体となる奨学金運動のベースとなったこと、貸与型奨学金だけでは不公平感がひろがるので、全員に恩恵のある学費引き下げをすべきことなど、新たな論点とみられる内容も提示している。日本の奨学金制度に関わる今後の課題も提示した奨学金問題の決定版といえる。

奨学金が日本を滅ぼす (朝日新書)

奨学金が日本を滅ぼす (朝日新書)