上西充子『呪いの言葉の解きかた』晶文社、2019年

 上西先生の呪いの言葉本を読んだ。ご自身の原発反対運動へのかかわりから、ここ最近の裁量労働制をめぐるデータ偽装の話まで書かれている。何かを封じ込めようとする動きに対して、勇気付ける言葉も紹介している。ジェンダーの問題も逃げ恥などとリンクして記述されていて、読みやすく、とても面白い。

 上西先生は、もともとJILPTの研究員から大学教員へと転じられた方。基本的に、手堅い調査・研究系の労働研究者のイメージがある。その方が、どうしてここまで政策的な問題にコミットするようになったのか。結果としてという側面はあるが、そこには研究者としてのプライドもあるように思えた。

 当事者としてこうした問題に関わるとしたらどう対応するのか。政権と対峙せざるを得ない状況で数多くのプレッシャーがあることだろう。ストレスも多くあると想像する。そうした場合に、友人関係や家族なども含めた何らかのサポートがないと厳しい。とはいえ、研究者としてのたちまわりを考えさせるとてもよい本だと思った。

 

呪いの言葉の解きかた

呪いの言葉の解きかた