研究
「日本企業の海外生産を支える産業財輸出と深層の現地化」という論文(『 一橋ビジネスレビュー』60(3)、2012年)を、面白く読んだ。生産設備の現地調達をしてこそ、本当の現地化。価格低下でシェアも増えるので、付加価値も増大する。付加価値もふえるか…
日系企業の中国工場では、農村部の出稼ぎ労働者が基幹労働力。どの企業でも、労働者の定着率の低さに頭を悩ませている。改善、チームワーク、ピアプレッシャー。日本的な職場編成は20年たっても浸透しづらい。これは、はたして中国人の気質という一般的理解…
昨日の講演会での生協労連の方の話。生協は歴史的に女性労働多く最低賃金や格差是正に関心がある。だから、基本は同じ職務には同じ賃金(同一労働同一賃金)。けれども、実際には地域間で人手が集まりにくい店舗がある。群馬県館林市など東毛地域は、埼玉に…
2日間の集会。中小業者の経営安定と最低賃金の引き上げ。それに加えて、外国人技能実習生の活用問題。これらの問題の構造を、個別事業所の労使関係だけで把握するのではなく、工賃や社会保険料負担も含めた課題とあわせて理解することが必要。あらためてその…
新自由主義なんて存在しない。その発言がとっても気になっている。頭からこびりついて離れない。社会なんてない。あるのは個人と家族だけだ(byサッチャー)と似ている。「新自由主義的な思想や考え方が、現実の法律改正等に反映されつつある。けれども、私…
いわゆる問屋制下請を遅れた、過去の消滅した形態ではなく、地場産業の代表的形態とみる中山金治氏の把握は面白い。この視点を最低賃金や中小企業経営の安定という現代の課題に活かせぬものか。
経済理論学会の学会誌(2017年1月号)の労働過程論の論文を読んだ。ブレイヴァマンが強調した統制概念が、それ以前の資本主義の統制とは異なること、テイラー主義によって自律性が奪われたこと、それゆえ、フリードマンらが指摘する「責任ある自律性」戦略と…
労務理論学会誌の櫻井幸男氏の論文を読んだ。この論文の主要なテーマは、ペイエクイティ(同一価値労働同一賃金)はそれ自体賃金水準を決めないとの批判にある。ただし、より興味を引いたのは技能・熟練と付加価値の関係である。熟練は付加価値形成をより大…
建築業界で、中小業者を支援する場合、どのような方法が必要か。建設業界の関係シャン木よれば新築工事は伸び悩んでいるという。大手デヴェロッパーは鉄等沿岸に大きな施設を建てているが、上位だけが儲かる仕組みはよくない。それで、中小業者の受注を考え…
調査のアポイントメントはいつも緊張する。特にてきぱきしている人事担当者の方がいる会社だと「おお!きた」とどきどきする。社会性のない人間が、社会性のある方々へ連絡をすることになるので、いつも不安になる。逆に零細企業の場合、ふつうのおじちゃん…
インタビュー難しい。事前によく調べても話題が展開しないことある。ノープランもよくないが、ターゲット絞りすぎるのもよぐない(*σ´ェ`)σ。インタビューアーが単独か複数かにもよる。ある程度聞き取り内容の擦り合わせは行うとはいえ、当日の進行は不確実な…
明治大学で開催されていた学会に1日だけ参加した。自由論題と統一論題。以下は、統一論題で感じた点。計量的手法の研究に対し、質的調査の研究者が課題や批判を加えるという議論は面白い。計量的手法そのものの内在的批判になっているとは言えないが、その調…
11月17日に群馬大学で開催された研究セミナーの様子。講師は山田博文・群馬大学教授。格差や貧困、株式の所有構造、政府の国債発行などに関わる基本統計を丁寧に読み解き、日本経済ががけっぷちにあることを指摘する非常にわかりやすいご報告でした。憲法9条…
11月15日にぐんま住民と自治研究所というところにおよばれして講演を行ってきました。「経済のグローバル化と国民生活の再構築ー繊維産業を事例に考える」というテーマで1時間30分。途中映像を20分ほど見ました。当初は90分ももたないかなと思っていたのです…
6〜7月も日常業務と子育て関係が多く、研究に時間をさけていないな。6月の記録 6/1 SSSP2日目。午前中、非正規労働者の分会に参加。非常勤講師組合、非正規保育労働、非正規公務員の3つの報告をお聞きする。3報告とも貴重な内容だったが、第2報告は、保育に…
以下は、ブラック企業に関して新聞社の取材に答える際に、自身で作成したメモです。◆ブラック企業の諸特徴 木下武男(2012)『若者の逆襲』旬報社、によれば、ブラック企業とは、1)肉体を磨滅させるような労働基準であり、2)大量採用・大量離脱を前提とした…
三井逸友(1985)「中堅企業、ベンチャー・ビジネス」瀧澤菊太郎編『日本の中小企業研究 第1巻』有斐閣。 日本の中小企業研究 (第1巻)作者: 中小企業事業団出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 1985/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 本稿で…
学内の研究会でネットワークがテーマの報告があり、その中身が議論になった。気になったので中小企業研究分野でネットワークがいかに議論されているのか、メモ。額田春華氏の論考がレビューとして参考になるだろう。額田春華(2003)「中小企業とネットワー…
山本 聡(2010)「サプライヤー企業のネットワークと取引関係の変化」『日本中小企業学会論集』第29号。 中小企業政策の再検討―日本中小企業学会論集〈29〉 (日本中小企業学会論集 29)作者: 日本中小企業学会出版社/メーカー: 同友館発売日: 2010/09/01メデ…
6月後半から3回ほど、桐生地域の地場産業調査に行きました。予備調査として、4月に群馬県の経済研究所に訪問し、概要を伺いました。続いて、6月後半に桐生を訪問し、地場産業振興センターや織物会館などで歴史的な概要をうかがいました。その際、地元の繊維…
岡山県や広島県の繊維産業集積は、地場産業としても有名ですが、現在はデニム・ジーンズの産地として全国的にも知られています。ファッション性を高め、高級デニム生地を生産する織布業者、中古加工をだし若年層にうけるジーンズをみがきあげる洗い加工業者…
昨年10月に申請した科研費が無事採択されました。若年層のキャリア形成や地域間ネットワークを繊維産業を事例に調査研究するものです。2012年度から2013年度まで2年間助成の対象となります。研究分担の科研費と対象とは重なるのですが、自分の研究テーマはよ…
先日、岡山県倉敷市児島に繊維産業調査に行ってきました。倉敷に行くのは8月の夏休み以来です。今回は洗い加工業者を中心に集中して4社訪問しました。 児島の洗い加工の会社さんの工場の現場です。ジーンズは糊がついていて、そのままでは履きにくいわけです…
気が付くと12月である。師走になっていました。もう残すところ数週間となり、授業も大詰めになってきました。昨年担当した授業の改善を加えたところもあり、全体として授業に費やす時間が増えています。それでも去年よりは少ないですが、全体として制度紹介…
中小企業論をかじりだしたので、分業と協業について気になっている。最近はネットワークとかコーディネートとか議論がされているが、そもそもは分業の範疇である。古典的なマルクス『資本論』の相対的剰余価値の生産のなかでの「分業」は企業内分業がメイン…
8月に2回ほど倉敷市児島に調査に行きました。8月上旬は岡山経済研究所や倉敷ファッションセンター。後半は企業さん中心です。後半は合計5か所を訪問しましたが、現在テープ起こしを進めています。ようやく、ざっとした文章お越しが終わり、これから整理する…
2泊3日で岡山県に調査に行ってきました。岡山県の倉敷に調査に入ったのは09年。法政大学大原社会問題研究所のプロジェクトがきっかけでした。大原社研の創始者である大原孫三郎氏は、倉敷市の有名な経営者。倉敷紡績を発展させるとともに、倉敷中央病院や大…
辞典の原稿を送付する。当初3000字程度で書いたものを最終的に2000字に削った。与えられた締め切り(1週間!!)で自分なりに資料を収集し、できる限り頑張って書いた。他にスケジュールが入っていたらはっきりいって無理。現状ではこれが限界点。ということ…
岡山へ出張。前日帰宅は23時、出張日程変更による荷物の変更などあったが、朝5時に無事起床。小倉経由で岡山に向かう。調査メンバーと昼に合流し、岡山県立図書館前のパスタ屋でランチ。O経済研究所の研究員の方と名刺交換をしつつ、地元情報の意見交換を…
10日間ほど在外研修で大学を留守にしていた。資料収集は思うように進んだが、大量の書類という宿題が残された。明日は前期試験、来週は学内の就業力育成フォーラムがあり、どちらも委員として仕事をしなければならない。書籍も送ってくださった方、どうも有…