中小企業とネットワークに関する先行研究1

山本 聡(2010)「サプライヤー企業のネットワークと取引関係の変化」『日本中小企業学会論集』第29号。

中小企業政策の再検討―日本中小企業学会論集〈29〉 (日本中小企業学会論集 29)

中小企業政策の再検討―日本中小企業学会論集〈29〉 (日本中小企業学会論集 29)

山本論文の概要(私のメモ)。

渡辺(2011)第1章によれば、従来の中小工業集積は主として、①大都市圏産業集積(=京阪地域)、②企業城下町型産業集積(=日立地域)、③機械工業集積(=諏訪地域)などを対象として研究が行われてきたが、特に①の大都市圏産業集積の場合、工場の海外移転により産地の中小企業が整理統廃合を広げている。本論文は大都市圏産業集積=日立地域を対象にして、1990年代以降のグローバル化に対し、「事業継続」した中小企業群に注目し、いかにして新規受注を獲得していったかのプロセスを中小企業経営者のネットワークという視点から分析している。結論を先取りすれば、本論文では事例企業のうち、成功に至った企業はいずれも、外部人材のネットワークと当該企業に蓄積された固有技術を活用して新たなネットワーク=新規受注を獲得していったプロセスが示される。