三井逸友(1985)「中堅企業、ベンチャー・ビジネス」瀧澤菊太郎編『日本の中小企業研究 第1巻』有斐閣。
- 作者: 中小企業事業団
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1985/06
- メディア: 単行本
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本稿は、中堅企業論に関する丹念なリビューであり、中小企業論の視点が貢献型に移っていくことを中堅企業論の検討を通じて明らかにしている。同時に重要な点は、1980年代以降、渡辺幸男が指摘したように、問題性認識の研究者の中でも、下請企業の技術水準が社会的分業の観点からみて、効率性を持っていることが共有される。他方、対象領域も「効率性」のある産業、すなわち日本的経営を支えた自動車や電気機械などの基幹産業に絞られることになり、斜陽産業である労働集約型産業、なかでも繊維産業の中小企業分析は少なくなっていく。もちろん地場研究は存在するが、現在のような注目は集めていなかった。