日経新聞「問われる資本主義」

 日経新聞で「問われる資本主義」が特集されている。アダム・スミスの研究者で知られる堂目卓生氏は、スミスの思想が市場経済に参入する当事者のモラルを重視していたという点を再度確認しつつ、それらがグローバル経済の下でどのように変化するのかを整理している。周囲の共感が生まれる状況を「公平な観察者」の存在として位置づけているが、その共有知識はグローバル化すればするほど違ってくる。地域経済や国民国家などを前提とする時代背景と異なり、グローバル経済では「共感」の共通土台をつくるのが難しい。グローバル経済だからこそ、民族や言語を超えた「公平な観察者」をつくることがもとめられる。これが趣旨だったと思う。閉ざされたナショナリズム愛国主義に警鐘を鳴らす論考だったと思う。

堂目卓生「問われる資本主義(2)共感・利他の精神が鍵に 内向きを改め視点広げよ」『日本経済新聞』2016年8月10日付(http://www.nikkei.com/article/DGKKZO05865690Z00C16A8KE8000/)。