本郷方面

日曜日は本郷方面へと赴く。学会初日である。本郷の大学は趣があり、大学らしいたたずまい。午前中はジェンダー関連の部会に参加する。ジェンダー論をめぐる歴史的論争とフランスの家族手当制度が少子化に与えた影響の分析。A先生のご報告は、剰余労働を確実に再生産するものとして(世代「永続的」剰余価値生産)、女性の生殖機能(人口の再生産)に着目する。歴史的に少子化になることが必然的であるとのニュアンスを持つご報告だった。F先生のご報告は、フランスの女性の就労形態がM字型にならず、台の字型になることを家族手当制度の「制度化」という視点から論ずる。もともと経営者の中での平等な家族手当の負担を志した家族手当制度(いわゆる資本家的共産主義!?)は、そのうち社会全体に普及し、やがては賃金総額の16.75%を経営者が拠出するまでに至る。こうした経緯をフランスの合計特殊出生率の上昇、女性の労働力化などの指標をもとに歴史的に論じられていく。第1報告は、資本-賃労働関係が機軸の従来の伝統的政治経済学の分析を批判する点に比重があり、論点提起的だった思える。第2報告は、女性の育児支援政策が、少子化の歯止めになるというインプリケーションを持つという点で、ある意味では第1報告の批判にもなっていた。ただし、コメンテーターの先生から提起された家族手当の家父長的性格、女性がケア労働に従事せざるを得ない構造の問題点は、フランスでどの程度克服されているかは、分からなかった。労働・生活時間の男女間分業の分析とあわせて深められるべき論点だろう。昼食時に、諸先輩方と情報交換し、早めの退席(スミマセン)。あとは、研究会の準備をするだけである。