とある大学の話

 昨日聞いたとある大学の話。退職教員が複数いるが、新任教員を1人しか補充していない。現在いる教員で授業を担当しなければいけないので、専門に関わらず、授業コマ数を増やしている。定員割れを防ぐために、教授会で決めた合格基準を下回る学生をとるように理事会から言われる。
 結果として入学後に勉強についていけず、中退してしまう学生が多くいる。入門科目でノートテイキングなどを教えるが、メモを取ることのできない学生が多くいる。授業負担は半期で学部8コマ、大学院を入れると9コマ。年間18コマ。毎日授業している。学会出張や研究会に行こうとすると、上の人から圧力がかかる。学科長や学部長などの役職に任期がない。ずっとやっている場合もある。
 私立大学で学力レベルが真中前後になると、こういう自体になりうる。少子化で学生自体が減っているから、学生確保にむけて注力する。人件費は限られているので、教員は増やさず、授業負担は増やす。…これって現代の日本企業と同じ。こういったアカデミックの場所での衰退は何をもたらすのか。

※参考:マージナル大学論
居神浩(2010)「ノンエリート大学生に伝えるべきこと──「マージナル大学」の社会的意義」『日本労働研究雑誌』2010年10月号(http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2010/09/pdf/027-038.pdf)。