フェイスブックでも書いたのですが、自分の記録用にこちらにも。学会では、同世代か少し上の優秀な方は、単著を出し始めている。テーマは様々であるが、対象とするフィールドが社会的に意義のあるもので、それを自ら足で稼いで得た情報を下に、先行研究で未解明の問題にチャレンジしているものが多い。例えば、非正規労働者の労働運動、請負労働者の労働実態、地方都市のホームレス、などなどである。私はこれまで政治経済学の古典を学びながら現実の労働問題にアクセスしてきた。大学院の指導教員も経済原論を専門としている。そのため、現実のフィールドに関心を持ちながらも、まずは基礎的な勉強をという思いもあり、フィールド調査などはできなかった。これはいいわけであるが、今から考えれば、他の研究会に参加するなり、調査に入れてもらうなどするなり、それなりの工夫をすれば、フィールド研究はできたはずである。でも、どのような対象を分析すればいいのか、あるいはどこに入ればいいのか、その土地勘はまったくなかった。研究者としての自身もなかった。だから、地道な研究を開始したというのが当初の考えである。
非正規雇用と労働運動―若年労働者の主体と抵抗 (大阪経済大学研究叢書)
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話を元に戻そう。翻って私が時間をかけ、社会的に問うべき課題は何なのか。こうしたことを学会に参加するたびに考える。フィールド調査を綿密に行うことに、自信があるわけではない。それらを理論的フレームワークに落とすこと、そのための作業が必要だと思っている。他方、最近力を入れている当該産業に関する研究蓄積は、非常に少ない。その点で価値があるとは思っている。業績のための業績ではなく、十分に時間をかけて出すべき研究成果を準備したい。それが何なのかと考えたときに、現代資本主義論のような大きな枠組みなのか、それとも対象を絞った綿密な情報の整理なのか、どちらなのかが、分からない部分がたくさんある。ただいえるのは、社会政策学会のような学会で評価されるのは、後者だという点である。5年程度をスパンに研究成果を出すということを本格的に考えなければならない、それはおそらく確実だと思われる。