日本型企業社会と年功賃金

今日の講義では、日本型企業社会と年功賃金というテーマで、資本主義の自己責任原則の修正形態としての福祉国家、日本型企業社会における年功賃金の位置づけという内容を扱った。およそ経営労務論とは程遠い内容(笑)。ただし、とても大事なテーマなので例年扱っている。まずチャールズ・ブースの貧困調査と雇用理論とかを紹介しつつ、レイバリングプアの問題。そして日本の仕送り額の低下と高学費(オール公立で600万円!)を提示した。労働力再生産費は1)本人の生活費、2)子供の生活費、3)修業費からなるが、このうち2)3)が社会的再配分の対象となっているのが欧州。すべて賃金として支払われているのが日本。そして年功賃金の対象となる労働者が減少することは、即ワーキングプアを生み出す。このような話をした。いつもよりも学生の食いつきがいい。授業後に毎回書いてもらっているリアクションペーパー(RPも)けっこう分量多い。特に学費の問題は切実だ。けれども、親に感謝することは当然としても、親に依存せざるをえない、この構造自体は改められる必要はあるんじゃないかな。自分も親にはお世話になっているわけだけれど、そうした個人的事情を排除した社会的に平等な仕組みを。なんて考えた午後のひと時でした。参考文献は下記の通り。

脱貧困の社会保障

脱貧困の社会保障

資本制社会保障の一般理論

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岐路に立つ日本 (日本の時代史)

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