范立君『現代中国の中小企業金融』時潮社、2013年。

 中国は2000年代以降、改革開放の流れの中で中小企業に注目が集まる。伝統的な国有金融機関では抵当条件も厳しく、融資が行き届かない。そこで伝統的な中国の血縁関係を維持しつつ、ネットワーク関係を構築したのが福元通運モデル。本書ではこの点に着目している。
 以下は脱線。中国の行動原理は「礼」に依拠する血縁家父長制で、現在でもそれが生きている。ただし、2000年代以降は、地域間関係がナショナルに広がり、グローバルな取引関係に発展する中で、地域の権力関係に結合している。利潤原理と地縁関係が結合すると、とんでもない賄賂社会になる。血縁社会と市場社会の結合の下でルールをいかに公正化していくのか、中国社会の課題である。