中小企業における職務給?
先日の学会でも話題になっていたが、米国ブルーカラーでも職務給から範囲レート職務給への移行がみられる。タスクオリエンテッドジョブからタレントオリエンテッドジョブへの転換である。後者は日本でいうところの職能資格制度に基づく能力主義管理に近い。米国は日本を志向し、日本は米国を志向する。公務員制度改革における能力主義管理は「遅れてやってきた能力主義」だが、職務給と職能給に移行するというともすれば周回遅れの対応をしている。ただし、公務員の賃金水準は地域の模範的位置をなすから、賃金リンクで原資が下がれば、民間企業の賃金水準も下落する。その点で大事な要素である。中小企業の多くは経営家族主義的な人事労務管理手法を行ってきたところが多い。従業員規模が100人を超える場合は別だが、それ以下では、従業員の職務分析と評価を行ってきた企業は少ないはずだ。経営家族主義的なメリットもあるとはいえ、労働者の職場定着の妨げになる可能性もある。
◆以下は参考。
山崎憲「アメリカ企業にみる内部育成重視─タレント・オリエンテッド・ジョブ」『JILPTリサーチアイ』第15回、2016年6月10日(http://www.jil.go.jp/researcheye/bn/015_160610.html)。