戦争法案(安保法案)をめぐって戦後まれに見る反対運動が展開された2015年。6月上旬に与党推薦も含む
憲法学者3人が
違憲判断を下して以降、
集団的自衛権をめぐる世論の反発は大きくなる。そのなかで中心的役割を担ったのが学生を中心とする自由と民主主義のための学生緊急行動、SEALDsである。この本では、作家で
明治学院大学教授の
高橋源一郎氏と、SEALDsの中心メンバーが対談を行っている。前半部分はこの運動にいたる経緯が語られている。中心メンバーの奥田さんの家族関係のこと(家に帰ると知らないおじさんが「今日から家族だから」と紹介されるなど)が語られて、面白い。後半部分は民主主義とは何かが遡上に上げられる。民主主義とは「多数決」主義ではない。そうだとしたら、多数派が何でも決めていいことになる。最終的には多数決で決定しつつも、少数派と議論を重ねながら、コンセンサスを作り上げていく。その意味で、
立憲主義と民主主義のバランスを意識した討論は、大変ためになる。「民主主義」とは多数決である、そう信じて疑わない人々が、多く読まれることを期待する。