『はだしのゲン』全10巻を読了

週末は、結膜炎が悪化したので、自宅周辺で安静にしていた。金曜日から開催しているトミカランドも、子供2人と妻でいってもらった。感染するといけないので、家のことも何もできず、お風呂も別で、隔離状態。相当迷惑をかけているが、ここにきて、喉も痛くなってきた。ちょっとやばいな。
自宅にいる間は、あまり活字も読めないので、漫画を読んだ。なんと『はだしのゲン』全10巻を読み終えた!!実は全部読んだのは、はじめて。子供のころはグロテスクな表現になじめず、きちんと読めなかった。が、あれはあくまでまんが。現実はもっとひどく、むごい。

〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻

〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻

戦争そのものの描写もさることながら、戦時体制で批判的な言説が封殺されたり、「ピカ」とよばれる原爆被害者に対する差別的な見解が一般的になったり、その雰囲気が怖い。軍国主義者がいくつかでてくるのだが、いまの政治家と言っていることはほとんど変わらない。

昨年の夏以降にこの漫画をめぐって閲覧禁止等の動きがあったが、なぜ保守派がこれを「読ませたくない」のかよくわかる。もし、「ルンペン」など差別的表現が問題なのだとすれば、それはどこかに注記をすれば済む問題。


※2013年夏に起こった閲覧禁止の動き
朝日新聞』デジタル2013年8月16日付、「はだしのゲン」閲覧を制限 松江市教委「描写過激」

 広島での被爆体験を描いた、漫画家の故中沢啓治さんの代表作「はだしのゲン」(全10巻)が、昨年12月から松江市内の市立小中学校の図書館で子どもたちが自由に見ることができない閉架の状態になっていることが分かった。市教育委員会が作品中の暴力描写が過激だとして、各校に閲覧の制限を求めた。

 市教委によると、描写が残虐と判断したのは、旧日本軍がアジアの人々の首を切り落としたり、銃剣術の的にしたりする場面。子どもたちが自由に見られる状態で図書館に置くのは不適切として、昨年12月の校長会で全巻を書庫などに納める閉架図書にするよう指示したという。

共同通信』2013年8月21日付、下村文科相、閲覧制限を容認 はだしのゲン「配慮必要」

 松江市教育委員会が市立小中学校に漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を求めた問題について、下村博文文部科学相は21日の記者会見で「市教委の判断は違法ではなく問題ない。子どもの発達段階に応じた教育的配慮は必要だと思う」と述べ、理解を示した。閲覧制限には表現の自由を制限するとの批判的な意見があり、議論を呼びそうだ。

 下村氏は過激な描写と指摘されている部分を自らも確認したことを明らかにし「小中学生が必ずしも正しく理解できない描写だ、と考える人もいるかもしれない」と指摘。

 また「誤った解釈をしないように、教員と一緒に学習しようとの考えだと聞いている」と語った。