いただいた本:『なぜ、市場化に違和感をいだくのか?』他2冊

2014年2月〜4月にかけていただいた本です。

マルクス経済学・再入門

マルクス経済学・再入門

デイヴィッド・ハーヴェイの翻訳でご活躍され、経済原論の研究者としても著名な森田さんの政治経済学のテキスト。剰余価値論などに筆者の独創性が盛り込まれ、単純労働・複雑労働の還元問題など論争的な点にもめくばれされています。私も再度授業のために目を通し、古典の読書会の際にも学生の参考書として薦めたいと思います。参考文献などの一覧がないのは煩雑さを避けるためだと思いますが、論争的なものを理解するうえで、著名な研究者の論文のガイドがあると、初学者に有益かなと思います。桜井書店で一時期されていたように、ウェブ上でそれらの一覧などを掲載するというのも面白いかもしれません。
公務員改革と自治体職員―NPMの源流・イギリスと日本

公務員改革と自治体職員―NPMの源流・イギリスと日本

明治大学の黒田先生、國學院大學の小越先生らが中心となり、若手の研究者も組織して行ったイギリスの公務現場の調査をまとめた著作。2013年度に出版された『季刊自治と分権』に数回にわたり「イギリス地方公務員の雇用と人事・処遇」という特集があります。そちらの内容を日本の調査研究も含めて、サイド整理された著作だと思われます。科研費のデータベースを調べると類似の研究があります。本書の末尾にも科研費補助金の記載がありますので、これだと思いますが、国内と海外を比較するその視点は、私の調査研究を深める上でもぜひとも学んでおきたい点です。岐阜大学の教員が中心となってまとめた研究会の成果のようです。経済・経営に特化した著作というのではなく、社会哲学も含んだ広い視野から検討された本です。経済学部の学生のようなものを想定するというより、社会学部や場合によっては文学部などの学生に、「批判的に学問する」ことを考えてつくられたテキストという感じがします。学内でこうした共同研究ができること事体、最近の地方国公立大学にとっては少なくなってきているのではないでしょうか。その意味で、お手本になる本です。

すべて、ご献本くださり、ありがとうございます。私も研究・教育にいっそう精進いたします。