生産工程のトレーサビリティ

 業界新聞の年末年始の報道を見ていると、繊維業界はいよいよ生産工程のトレーサビリティに着手せざるを得ない状況にきているようだ。海外生産であろうと国内生産であろうと、どのような素材をどのような労働力を使って生産しているのか、そのあたりが問われる。ファッション業界ではエシカル消費が一種の流行になっている。そこにはファストファッションといえども、その背景の労働や環境に目を向けなければならないというメッセージがある。企業経営戦略、マーケティングの枠内とはいえ、この動き自体は重要。NGO団体等が粘り強く下請労働の問題を告発してきたからこそ、ファストリは動いたわけだし、柳井氏もそういう判断をした。こうした動きが国内の下請工賃の是正や、最低工賃の問題に広がっていけば、業界全体の労働環境見直しにつながる。

 ファストリ、柳井会長。取引内容の透明化に言及。下請けのトレーサビリティは今後のトレンドか。

出所:『繊研新聞』2017年1月6日付。