教育実践の方法

随分前ですが7月の某研究会の感想。

Sociology (Collins Dictionary of)

Sociology (Collins Dictionary of)

N先生のご報告は教育実践として社会学をどう教えるかという点で興味深いものだった。社会学の領域は、労働、雇用、環境、ジェンダー、など社会問題と呼ばれる領域を対象とする。そのため。経済学や政治学などほかの領域とかぶる部分も多く、ある意味「いいとこどり」的な印象もぬぐえない。実際、私も社会学は「なんでもあり」的な学問だと認識している。

報告では学生に対して社会学をどう教えるのか、いくつかのテキストを書いた上での「自分なりのテキストを作る」点に焦点がおかれた。報告の中では、イギリスの社会学のテキストとして、Collins社製の第6版のテキストが紹介された。中身をみるとなるほど、ジェンダー、階級から、イギリスらしい社会的排除、雇用問題として労働過程論の射程まで記述してある。報告によれば、これらは英国で大学入試のために利用するテキストらしいがこれだけ網羅されていれば、あえて大学に入学する必要もなく基礎学力としてはかなりのレベルにあるとも考えられる。

経済学では新古典派とPK派・ラディカル派なども含むマルクス派との経済学が教育レベルで著しく分離し、それが学生による経済学を学ぶひとつの障害になっている。学生からすると新古典派との違いを念頭に置いた上で社会経済学の利点を学べれば有益だと思うが、それでも2つの考え方を紹介されると混同してしまい、それであればひとつの考え方を徹底的に学ぶほうがやりやすいということも考えられる。ともあれ、政治経済学、社会経済学の領域で欧米ではどのようなテキストがあるのか関心を持った研究会だった。