2012年度に扱った文献

2012年度にあつかったゼミ関係(2ゼミ、3ゼミ)は下記のとおりです。4年ゼミは文献輪読を行わず、就職活動等の面接と卒論の中間報告が中心でした。

  • 2ゼミ(前期3冊、後期2冊)。

セブン‐イレブンの正体

セブン‐イレブンの正体

巨大人脈SNSのチカラ (朝日新書)

巨大人脈SNSのチカラ (朝日新書)

消費税のカラクリ (講談社現代新書)

消費税のカラクリ (講談社現代新書)

トヨタの労働現場―ダイナミズムとコンテクスト

トヨタの労働現場―ダイナミズムとコンテクスト

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

これだけ見ると何をやっているのかわからないかもしれませんが、最初の3冊は前期に活用したもの。前半2冊は学生に図書館で選んでもらって決めたもの。輪読の導入編です。3冊目は消費税増税賛成VS反対でディベートをする際に基本文献として取り上げたもの。上記以外にもディベートの本のコピーを活用しています。ディベートの前には青空教室もやりました。
残りの2冊は後記の輪読文献。4冊目は工場見学にあたって事前に読んだもの。割と急ぎ足で読まざるを得なかったので、学生が消化不要になっていないか若干心配でした。しかし、工場見学に行った後はその意味を再理解していたようにも思えます。5冊目は産業や雇用について知りたいとの要望があったので、読んだ本です。学生には少し難しかったようです。なお、工場見学の際には各社のウェブサイトのほか、下記の文献も参考にしました。
工場見学 九州 (工場ガイド)

工場見学 九州 (工場ガイド)

  • 3ゼミ(前期は地域調査が中心だったので文献輪読は行わず)

震災からの地域再生―人間の復興か惨事便乗型「構造改革」か

震災からの地域再生―人間の復興か惨事便乗型「構造改革」か

学生はマクロな政治情勢や経済事情になると途端にリアリティがないように感じたようです。例えば、地域再生の視点から道州制を扱った部分では、橋下維新の会や河村減税日本などの政策動向を把握することが必要不可欠です。筆者の主張は住民の活動領域としての地域と資本の活動領域としての地域が分離し、資本の活動領域に重点を置くのが道州制市町村合併にあるという点にあります。この点について、選挙にもあまり行ったことのない学生は「少なくとも国民に支持されているのだから、こういった見方には疑問がある」との感想でした。これを受けて12月にヒアリングに行ったのですが、地元の農業レストランを営む経営者の方が、途中で「TPPについてどう思うか」という話をしてきました。彼曰く「農業は経済でいえばパンツのようなもの、パンツをはかないで上着だけ着てもおかしい」という発言をしていたのですが、すばらしいレストラン経営をされている地元の社会的企業家が、グローバル経済と地域経済をにらみながら自らの事業活動をしている点に納得しているようでした。本学は非経済学部なのですが、経済や経営学部を専攻する学生の場合はどう感じるのかとも思いました。

政治情勢を鋭く見る視点を養うためには下記の文献などを読む必要があると思われます。このテキストでは、2009年以降の民主党政権成立を新自由主義への対抗からのジグザグの過程としてとらえ、管政権で対米従属、新自由主義政策への方向性が切られ、野田政権で消費税増税原発再稼働と完全に保守政権に転換したことが鮮やかに分析されています。同時に、維新の会やみんなの党などの躍進にも分析が注がれています。

渡辺治の政治学入門

渡辺治の政治学入門

来年度はきちんと輪読をしたい。2ゼミはよく文献を読んで取り上げたが、もう少し多読も必要。吟味するところと、精読するところのバランスを取りたい。あと財政とか広い意味での経済についていろんな本を読んでみたいとも思う。個人的には子供市場におけるアンパンマンやしまじろうの役割とか興味あるけど笑。