巽真理子『イクメンじゃない「父親の子育て」』晃洋書房、2018年

 巽真理子『イクメンじゃない「父親の子育て」』晃洋書房、2018年。父親のジェンダー規範の変化を検討している。2000年代後半以降の男性は、「一家の稼ぎ主」という男らしさと、「ケアとしての子育て」の実践の間で揺らいでいる。本書では、1)厚生労働省イクメンプロジェクト、2)育児雑誌、3)父親9名へのインタビューを通じて、丁寧な分析で読み解いている。

 人々はみな、職場、家庭、地域の中でそれぞれの固有の役割があり、境界線を行き来している。職場での承認、家庭での承認、地域での承認が何らかの形で得られれば、実体としての「ケアとしての子育て」に従事できる可能性が高い。これが本書のメッセージであるように思われる。

 どのように子育てにかかわるのか、という点は、当事者として実践的な問題であると同時に、研究者として見た場合、このような問題をどのような切り口で攻めるのかの問題でもある。当該分野の先行研究に必ずしも明るくないが、読み物として面白く、かつ学術的な刺激も受けた。

安藤俊介『怒りが消える 心のトレーニング』 ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年

 安藤俊介『怒りが消える 心のトレーニング』 ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年。アンガーマネジメントの本。怒りを感じること自体は問題とはとらえていない。他者に対して怒りの源泉をどのように伝えるのか、また怒りをそのままぶつけてしまっては、健全な人間関係が構築されないなど含蓄に富む指摘が多い。

 怒りを感じた時に、その事実、場所、対応策などを事細かに記録するアンガーログの教えが、参考になった。コロナ拡大以降、自宅にいることも多く、子供との言い争いも多くなっている。とても勉強になった。

[図解] アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング

[図解] アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング

  • 作者:安藤 俊介
  • 発売日: 2018/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

石塚由紀夫『味の素「残業ゼロ」改革』日本経済新聞出版社、2019年

 石塚由紀夫『味の素「残業ゼロ」改革』日本経済新聞出版社、2019年。2015年以降の味の素における労働時間削減、在宅ワーク、どこでもオフィス推進、限られた時間でのイノベーティブな仕事への集中などの実践が、時間経過とともに紹介されている。

 社長インタビューなども含めて社内の情報が事細かに記されており、具体的企業の事例研究として大変勉強になる。フリーアドレス化、在宅ワークなど、コロナ時代の働き方改革を先行して実践している内容も含まれており、考えることが多い。電子データ化などの動きも参考になる。

味の素 「残業ゼロ」改革

味の素 「残業ゼロ」改革

  • 作者:石塚 由紀夫
  • 発売日: 2019/10/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

永吉希久子『移民と日本社会』中公新書、2020年

 永吉希久子『移民と日本社会』中公新書、2020年。中公新書であるが、本格的な外国人労働者研究に近い。外国人労働者受け入れに伴う労働市場への影響のみならず、犯罪や地域社会への統合といった課題についても、丁寧に先行研究の議論を紹介している。

 外国人技能実習生など各論での分析が主軸である外国人労働者問題を、総論的に扱っている。かつ、そのサーベイが入念である点が特徴。外国人労働者問題の本格的な入門書という内容で大変勉強になる。

 

今野晴貴『ストライキ2.0』集英社新書、2020年

 今野晴貴ストライキ2.0』集英社新書、2020年。ブラック企業と戦う武器としてストライキに着目している。日本は労働争議件数の減少が著しいが、局地的にはストライキもしくはそれに準ずる労働者の戦い方が増えている。例えば、東京駅構内の自動販売機のストライキなどである。

 本書では、保育士の一斉退職、私立学校の教員ストライキ、佐野SAでのストライキなど近年の労働者の抵抗の事実を具体的に取り上げながらも、健全な労働社会を作るための条件を考察している。ケア労働やサービス労働など20世紀型の労働現場とは異なる労働者が主軸となっている点に注意を促している。

 

ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器 (集英社新書)
 

 

平日大人一人で仕事しながら、子供二人面倒みるのは、きつい

 大人ひとりで、子供らといるときは、基本、子供の面倒。あわよくば、隙間時間で仕事。それくらいのイメージ。講義のときは、映画みてもらう。昨日は、ラピュタ。来週は、どうするか。。。

 平日大人一人で仕事しながら、子供二人面倒みるのは、きつい。たとえチャット機能の課題提示型講義でも、トラブル対応ある。公園にいるとき、問い合わせきても対応できない。来週は、リアルタイムのゼミ2コマのとき、大人一人。色々と準備が必要だ(^_^;)。

リアルタイム配信型の遠隔講義

 リアルタイム配信型の遠隔講義は、集中力いるし、画面をずっとみているので、疲労が蓄積する。一コマでもつらい。対面での講義もそうだったかもしれないが、朝から晩までリアルタイムあるいは、動画配信みていたら、ぐったりするのではないか。

 ZOOM形式で、毎週ゼミをやる必要もあるのかな。テキストの読むべきもの、課題などを提示して、オンラインで必要に応じて集まる。学習意欲の換気という点にフォーカスをおいて、いままでとは違うかたちで、組み立てられないかな。

 強制的に毎週開講する。単位認定があるので、それを前提に運用してきたけれど、提出書類がしっかりしていれば、ある意味学びの拠点をもうけるだけでもよいのではないか。モチベーション、インセンティブ、みんなで学ぶことの意義もある。そのことは否定しない。やる気の格差があるときに、どのように運営すべきかね。