自民党微減、民主党微増、共産党倍増

 自民党は今回の選挙で、295の小選挙区のうち75%にあたる223議席を獲得した。しかし、日経の報道によれば、得票数自体は2009年より減少している。他方、議席を増やした公明党は、比例の得票数は横ばい。共産党は、過去2回の選挙より得票数を伸ばしている。
 日経新聞の「組織票」というタイトルは実態を見る限りミスリードであると思われる。投票率が低く、「組織票」で共産党が伸びたとしたら、過去2回と比べて得票数を絶対量として伸ばした理由が説明できない。

日本経済新聞、2014年12月15日付
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H08_V11C14A2EB1000/

自民、得票率48%で議席76% 得票数は微減

 自民党は今回の衆院選で、295ある小選挙区のうち76%にあたる223議席を確保した。得票率は48%。得票率に比べて議席獲得率が高くなる小選挙区の特性を生かした形だ。一方で総得票数は2012年の前回選に比べてわずかながら減少。有権者全体に占める得票割合は25%となり、投票率が過去最低に落ち込んだ影響を映し出している。

 今回の小選挙区の有効投票総数は5293万票。自民党は2552万票を得たが、自民党が政権を奪還した前回衆院選より12万票減らした。前回は43%の得票で79%の議席を獲得しており、今回は得票率が5ポイント上昇した一方で、議席占有率では3ポイント低下した。

 自民党は政権を失った09年衆院選では2730万票を得たものの、議席占有率は2割にとどまった。今回の得票は09年より178万票減った形になる。
 
 得票数の落ち込みは過去最低になった投票率が大きく影響している。民主党小選挙区では前回獲得した27議席から38議席まで回復したが、得票数では1191万票と前回から168万票減らした。他の野党との競合を避け、小選挙区での候補を絞ったことが主な要因だ。

 小選挙区で落選した候補に投じられて議席に反映されなかった「死票」は2540万票で、全体の48%に達した。

 政党別に死票をみると、自民党が17%で、9人の小選挙区全員が当選した公明党はゼロだった。劣勢が伝えられながら、栃木2区や愛知5区などの接戦区で自民党に競り勝った民主党は70%。前回衆院選の83%からは改善した。

 維新の党は79%で前身である日本維新の会が前回に記録した82%に比べて3ポイント改善した。292選挙区に候補者を立てた共産党は選挙区での死票は99%に達したが、候補者をそろえたことが比例代表での得票の上積みにつながった。


http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H0N_V11C14A2EB1000/

公明・共産、組織票で躍進 低投票率が後押し

 今回の衆院選投票率が低迷するなかで組織票固めを進めた公明党が健闘し、公示前勢力(31議席)を上回る35議席を確保した。共産党は組織票にとどまらず、無党派層を取り込んで公示前の8議席から21議席へと躍進した。

 公明党の35議席は1996年に現行の小選挙区比例代表並立制を導入して以来、最も多い。候補者を擁立した9選挙区すべてで勝利したほか、比例代表でも、2003年の25議席を上回る26議席をとった。

 比例代表での得票率は13.71%となり、12年の前回衆院選から約2ポイント上昇。14.78%だった03年の衆院選に次ぐ水準だった。山口那津男代表は15日未明、消費増税時に軽減税率を導入することをめざすとした経緯に触れ「生活者目線の様々な政策を訴えてきた。かなり強い手応えを感じた」と語った。

 連立を組む自民党単独の議席は291で、参院で否決された法案を再可決できる衆院の3分の2(317議席)に満たない。さらに、参院では公明党を含めなければ与党が過半数に達しないため、今後の連立政権運営でも一定の影響力を発揮できるとみる。

 共産党は26議席を得た96年以来の高水準となった。沖縄1区で議席をとり、同年以来となる小選挙区での議席獲得となった。比例代表での得票率は11.36%で、前回より約5ポイント上昇。13.08%だった96年以来の高さだった。

 予算を伴わない法案を単独で提出できる21議席を確保した。今後の国会審議で存在感を発揮する可能性がある。