09労経白書発表

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080722k0000e040048000c.html

<労働白書>仕事の満足度低下 背景に非正規急増や成果主義

7月22日12時15分配信 毎日新聞

 厚生労働省は22日、08年版の「労働経済の分析」(労働白書)を公表した。労働者の仕事に対する満足感を初めて取り上げ、雇用の安定や仕事のやりがいなどの面で満足度が低下していると指摘。背景として非正規労働の急増や成果主義賃金の導入などを挙げ、「日本的雇用制度への再評価が広がっている」と分析している。

 白書は内閣府の「国民生活選好度調査」からデータを引き、「雇用の安定」について「満足」と答えた人の割合が78年の33%から05年には14.8%に減ったと指摘。同じく「仕事のやりがい」は30.5%から16.6%に、「収入の増加」も23.7%から6.2%に低下したことを示した。そのうえで「企業が仕事への意欲を高める目的で導入した成果主義賃金制度が必ずしも成功していない。賃金制度の運用改善に心がける必要がある」と提言している。

 また、正社員の仕事がなく、パート以外の非正規で働いている人の割合は01年の38%から06年には44%に上昇し、正社員に比べ相対的に仕事への満足感が低いと強調。「正社員になれない就業者の不安や不満が高まっている。非正規雇用はコスト削減には有効でも、職業能力を高めず、労働生産性向上にはマイナス」と断じた。

 そして、日本が国際競争力を失っていく過程で批判された長期雇用や年功序列賃金制度などに言及、「再評価の動きがある」とした。【東海林智】