近代経済学or古典派経済学?

学説史的な本の紹介ばかりで恐縮ですが。

思想としての近代経済学 (岩波新書)

思想としての近代経済学 (岩波新書)

父親から「経済学はわからん」といわれ、どんな本を紹介したらよいか考えています。

タイトルは近代経済学ですが、リカードマルクスも扱っています。ふつう近代経済学というと、ジェボンズワルラス以降の効用価値説・限界革命を出発点として、パレートやフリードマンなど以降の経済学をさすのですが、この本ではリカードマルクスも含めています。リカードワルラスによって「純粋経済学の創始者だ」といわれ、同時にスミスからマルクスに成熟する労働価値説の系譜もたどっています。だから、リカード近代経済学者ならマルクス近代経済学者なのだというのが森嶋先生の主張。

スミスもなんだか自由主義の信奉者みたいなえがかれ方を普通はされますが、学説史的には労働価値論の出発点であり、現代経済学の主流である効用価値説とは鋭く対立するのですよね。うーん。何を基準として彼らの学説を見るかによるのかな。こういう本を「嫁」とか父親に言っても、たぶん読まないと思う。

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書)

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書)

日経新聞を読んでいるビジネスマンにはやっぱり「効用」とか「限界費用」とか現代経済学の概念をわかりやすく説明している本のほうがいいかな〜とも思っています。この本は中学生向けくらいの本ですが、僕のような人にでも読みこなせる本です。同時にそれなりに一本筋の通った本でもあります($小田中先生の本は自分には面白いけど、予備知識がないと読めない気もします)。