シン・仮面ライダーの撮影ドキュメント

 シン・仮面ライダーの撮影ドキュメントを見た。監督が考える戦いのリアリティと、スタント関係者、俳優の考える戦いのリアリティにずれがあって、しかも現場で監督の判断が徐々に変わっていく。現場の混乱と負担の様子が見られて、素人ながらにも大変そうにみえる。

 庵野監督の撮影スタイルのことはほとんど知らない。でも、映像を見る限り、事前に決められたことではなく、その場で起こるハプニング的なことを追求しているようだ。いわば当たり前になっていることをその場で破壊する。粗削りであっても、その瞬間に起こる爆発力に期待する。

 俳優の池松壮亮さんは、事前に想定したことが常に覆されることで生ずる「現場の雰囲気の悪さ」を指摘していた。その中でも自分でできることと、監督が期待することをすり合わせながら、努力を続ける姿勢は見事だなと思った。作品を作りこむとはこういうことなのかなと思ったけれど、与えられたことを淡々とやるスタイルが、映画を撮ることの標準とするならば、この撮影スタイルは大変だ。映画現場におけるハラスメント的なことと表裏一体ではある。

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