吉田裕『日本軍兵士』中公新書、2017年

 吉田裕『日本軍兵士』中公新書、2017年。ようやく読んだ。戦争中の具体像を兵士の健康状態や資料などから明らかにしている。虫歯がひどくて治せなかった。無理な戦いを精神論で乗り切ろうとしていた。これらのことが、立体的にわかる。

 祖父が軍隊関係者だったこと、戦争に興味のある少年時代だったが、大学入ってこれまで知ってきた戦争観とは違った中身を知りたかったこと、これらが、あとがきに書かれている。精神論とか、現状を見ない場合、その苦しみは現場に押しつけられる。そのことがわかる。悲惨な中身だが、豊富な具体例。

 吉田先生といえば、かつては、靖国神社のフィールドワークを熱心にやられていた。神社内の遊就館をまわりながら、神社が依拠する戦争観を解説する。いろいろと緊張感ある空間。今でもやられているのだろうか。

 

日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 (中公新書)