インバウンド需要の低迷

 2016年度初頭からインバウンド需要の低下が指摘されている。為替相場円高傾向に加えて、高級品需要が低下し客単価が下がっていることが原因として指摘されている。他方、2016年4月から中国の輸入関税引き上げが起きて、そのことがインバウンド需要にマイナスの影響を与えている。もともと中国の大量購入現象は、友人に頼まれて日本製品を購入したことがきっかけで、最近ではそれを商売にするケースもあるという。大量に購入して、中国で売りさばく。つまり商品の「運び屋」のようなものである。個人で仕入れる場合には関税がかからない。4月の対応はここにメスを入れたというのだ。
 2015年11月のシングルデーでも注目されたように、中国国内での日本製品への注目はものすごい。ミキハウスの日本製の子ども靴は、日本国内で1ヶ月で売れる量がたった1日で完売した。

 ミキハウストレード執行役員「2万足って言ったら、120店舗でひと月に売れる量なんですよ、120店舗で。それを1日で?」
 アリババ担当者「やりたいです」。
 ミキハウストレード執行役員「売れますか」。
 アリババ担当者「シングルデー(独身の日)は販売するものがなくなりますよ」。

NHKクローズアップ現代 2015年11月12日 13億人のバーゲンセール 急成長!中国 ネット通販(http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3732/1.html


 アリババのインターネットモールの効果もあるが、引き続き日本製品への需要は一定程度存続すると見られる。中国ではラインにかわるウィチャット(we chat)が流行っている。7億人がユーザー登録をし、2億人が常連である。ラインと異なり、ネット決済機能が付いている。ある貿易企業は中国企業とのやりとりをウィチャットで行うという。資料もばんばんスマホ上で送る。とにかく情報の進展が早い。
 貿易関係の仕事をするのであれば、英語に加えて中国語は必須だろう。ある中小企業の繊維貿易関係の経営者は、「中国に留学3〜4年間が好ましい」といっていた。1年や2年では駄目なのは、生活習慣や中国の雰囲気を知っていること、単に語学だけの問題ではなく、土地柄をしっていることをあげていた。