自分とプロレス

自分は中学校時代にプロレスが好きになった。当時は夕方からテレビ朝日系の「ワールドプロレスリング」と日曜の夜から日テレ系の「全日本プロレス中継」がやっていたと記憶している。前者は新日本プロレスで後者は全日本プロレス。自分は武藤、蝶野、橋本の闘魂三銃士がいる新日本プロレスが好きだった(友達との間では「新日派」「全日派」という言い方が多用されていた)。平成維震軍とか猪木の引退とかネタが豊富でなんか純粋にかっこいい気がした。

一方、全日本プロレスは明るく楽しくがモットーで試合内容で勝負。前座をラッシャー木村や馬場さんがとりまとめ「お笑い路線」を、後半を田上、小橋、川田、三沢の4天王で激しいプロレスを。さながら伝統芸能笑点の様な完成度だった。全日本プロレスは試合自体がとても激しく(そして長く)、「こいつはすげーや」という内容が多かった。小橋のチョップ、ハンセンのラリアット、田上ののど輪落とし、川田のキック、三沢のエルボー。全日本プロレスは個性があって30分時間切れ引き分けは珍しくなかった。

それでも、自分は新日本プロレスを中心としながらも、全日本プロレスもきちんと見ていた。その後、空前の格闘技ブームになり、新日本プロレスUWFインターナショナルとの対抗戦など対外試合を行っていくのに対し、全日本は地道に激しく楽しいプロレスを続けていた。たぶんプロレスのプロレスらしさを堅持していたんだと思う。

過去には、全日本プロレスを見に日本武道館へ、G1クライマックスを見に両国国技館へも行った。日本武道館の試合は、小橋と三沢の三冠選手権だったと思う。たしか、三沢がリング脇から小橋にタイガードライバーを決めた気がする。とてもいい思い出である。

プロレスは会場でのファンの一体感がすばらしい。スパルタンXとともにこだまする「ミサワ、ミサワのコール」。あの一体感がたまらない。みんな三沢が好きだった。額の汗をかき上げるしぐさ、ロープに相手を振ってからのローリングエルボー、川田に放ったタイガードライバー91。ときに厳しい攻撃をしながらも、相手を尊重し、プロレスとしての成熟を目指していたと思う。

また見れることなら、三沢のタイガースープレックスを見たい。そしてまたプロレスを見に行きたいと思う。本当に早すぎた。合掌。