お勉強

今日は来週の研究会に向けての事前勉強会。4時間弱にわたって上記の本を検討しました。

本書は前半部分と後半部分の二つの構成からなっています。前半部分は「ルンペン」「浮浪者」など著者が言うところの「不定住的貧困」の歴史的変遷と、日本の行政による政策的対応を資料に即して検証したもの。後半部分は、厚生施設・宿泊提供施設の一つである東京都のA荘を取り上げ、退出記録を整理することで、どのような人が厚生施設への入所経路をたどっているのかを検証したもの。著者の問題意識である「不定住的貧困」がどのような形で社会的に取り上げられ、あるいは見えない形になっているのか、歴史的に検証されています。

後半部分の入所経路の検証が著者の最大の功績であり、90年代以降に当てはめるとしたらどのような結果が出るのか、状況変化について岩田先生にお聞きしたいところです。なお、加藤佑治元専修大学教授が、1996年6月の『大原社会問題研究所雑誌』で上記の本の書評を書かれています(→こちら)。