少し感想

偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43)

偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43)

朝日新書の『偽装請負』を昨日から読んでいます。昨年の8月からの朝日新聞偽装請負キャンペーンの裏側をきちんと抑えていて、事実整理に役立ちます。私も読みながら昨年に起こった一連の新聞報道の中身が思い出されたかのような印象を持ちました。

雇用形態に関わりなく、現場で働く人たちの仕事に対する情熱や愛情は存在します。それは「派遣さん」であろうと「請負さん」であろうと変わらないわけです。それを、見事なまでに裏切ってきたキャノンの不誠実な対応が当事者双方のインタビューなどを交えて明らかされています。

他には松下の事例やクリスタルの事例についても扱っていますが、キャノンの事例を扱った第1章は、お勧めです。外部人材活用型のシステムが「麻薬」のように、日本企業に浸透することによって、日本でいった何が起こっているのか、労働・雇用問題に関心のあるすべての読者に考えさせる内容です。朝日新書は実は軽めのタッチの「はずれ」も多いのですが、これはお勧めです。