シン・仮面ライダーの撮影ドキュメント

 シン・仮面ライダーの撮影ドキュメントを見た。監督が考える戦いのリアリティと、スタント関係者、俳優の考える戦いのリアリティにずれがあって、しかも現場で監督の判断が徐々に変わっていく。現場の混乱と負担の様子が見られて、素人ながらにも大変そうにみえる。

 庵野監督の撮影スタイルのことはほとんど知らない。でも、映像を見る限り、事前に決められたことではなく、その場で起こるハプニング的なことを追求しているようだ。いわば当たり前になっていることをその場で破壊する。粗削りであっても、その瞬間に起こる爆発力に期待する。

 俳優の池松壮亮さんは、事前に想定したことが常に覆されることで生ずる「現場の雰囲気の悪さ」を指摘していた。その中でも自分でできることと、監督が期待することをすり合わせながら、努力を続ける姿勢は見事だなと思った。作品を作りこむとはこういうことなのかなと思ったけれど、与えられたことを淡々とやるスタイルが、映画を撮ることの標準とするならば、この撮影スタイルは大変だ。映画現場におけるハラスメント的なことと表裏一体ではある。

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学生がはつらつとしながら、自由に雑談する姿

学生がはつらつとしながら、自由に雑談する姿はいいものだ。講義も中盤になっていくと、だんだんどんよりした雰囲気になることも多いのだけれど、久しぶりに会って楽しそうに話する空間はよい。この雰囲気を(ジグザグしながらも)持続的に作ることができれば、いいな。

小熊英二(2022)『基礎からわかる論文の書き方』講談社

 小熊英二(2022)『基礎からわかる論文の書き方』講談社。一気に読んだ。論文とは何か、ジャーナリストが書く文章とどう違うのか、などが多角的に論じられる。たとえば、どこかに行くときに、途中下車したところ、今いるところを示していくのが学術論文であるなど、いろいろなたとえを駆使しながら解説されている。

 科学的態度みたいなことも解説してある。ある現象を最もよく説明できるスタンスが学説として主流となるのであって、それは自然科学も社会科学も同じ。普遍的な原理がありそうであっても、それはあくまで現時点では最も確からしい説明方法に過ぎないからだ、という説明もある意味科学を相対化している。

 課題を設定し、すでに述べらていること、通説となっていることの限界を指摘し、それを乗り越える。いわれてみては当たり前のことを、受講者との対話形式にしながら説明している。読んでいると、科研費のような研究方法論の記述をする際にもアイディアになりそうな感じを受ける。類似の研究方法論、論文の書き方本と違うのは、単なる技術的な作法だけではないこと。学問的な姿勢や学問の意味など、普遍的な内容にも視野を広げている点が、読み物として面白い点かなと思う。

 

 

神野直彦『分かち合いの経済学』岩波新書、を10年ぶりくらいに手に取る

神野直彦『分かち合いの経済学』岩波新書、を10年ぶりくらいに手に取った。改革の基本線はいまでも変わっていないようにみえた。あとがきにでてくる初老の男性が川端康成であるというエピソード。以前読んだときは気に留めなかった。なんというか文学的な滑らかな文体である。口語聞き取りという側面もあるのかもしれない。

 

 

 

新年度始まる

新年度始まる。久しぶりにあう学生たちが楽しそうに話をする姿に心が洗われる。ジグザグあるだろうけど、この雰囲気が維持されるとよいな(^_^;)。履修登録は今日が締切だが、例年に比べると受講生数は落ち着きそうである。ここ数年の厳しめとなった評価基準が、受講生のあいだに浸透したのか。落ち着いた雰囲気の教室で講義をしたい。さてどうなるか(^^)。今年は久しぶりに調査も行きたい。不慣れなフィールドであるが、新しい農業分野の調査ができれば、視野が広がる気がする。文献研究とかなりの程度リンクできそうな、感覚も持っている。

名優アンソニーホプキンスの演技が光る

高齢化と介護の話。映画全体が、部屋から一歩たりとも外に出ない。終始部屋の中の風景で描かれる。名優アンソニーホプキンスの演技が光る。悲しいか向き合う必要のある現実。最近の映画で子育てや家族ものみて、心奪われることは多々あったけれど、介護関係では珍しい。海外映画だったことが新鮮に感じ、またよく知る名優の演技が迫真に迫っていたからかもしれない。