それボク

テレビで鑑賞。上映中に見れず初めて見た。とある友人の司法試験組(裁判官志望)は、「偏った映画だ」と批判をしていたが、これがある意味では真実なのかもしれない。裁判官が悪なのではなく、また検事が間違っているわけでもなく、システムとして高い有罪率が日本の裁判制度の特徴となっている。この映画でも「逆転無罪」になるのではなく、控訴するところまで淡々と裁判風景が続けられるとことが、逆にこの映画のリアルさ(と素人には見える)を映す魅力となっている。しかし、裁判官の主文書は、書き方、記述方法、論証の程度などまさしくわれわれが書く学術論文のようだ。むかし読んだ『裁判官はなぜ誤るのか』(岩波新書)や『自白の心理学』(同)のモチーフと重複するが、単に裁判官の資質の問題ではなく、日本の裁判制度の実態を描こうとした映画なのだろう。