もうひとつの9.11

9.11といえば、2001年のアメリカの同時多発テロ。自分はこのとき大学院受験で大阪にいた。この映画は、オムニバム方式で平和を祈る世界各地の映画監督が短い時間で映像をつづる。特筆すべきはイギリスのケン・ローチが描いた、チリのもうひとつの9.11。1970年初頭、地球の裏側では米国がアジェンダ社会主義政権に、政治的、軍事的に介入し、「新自由主義政権」の元祖といわれるピノチェト軍事政権を誕生させた。1973年の9月11日である。この事件を、亡命してきたひとりのチリ人に語らせる形で映像化している。ピノチェト政権での虐殺の姿は想像を絶するものだった。全体として、個々のストーリーは背景を知らないと理解がむずかしいところが多く、映画としてけっして面白いものとはいえない。しかし、ケン・ローチの映像はそれを補って余りあるものである。

セプテンバー11 [DVD]

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