本田浩邦『長期停滞の資本主義』大月書店、2019年

 年末年始に読んだ、本田浩邦先生の『長期停滞の資本主義』大月書店、2019年、面白かった。消費不況などの構造的問題から、基本所得構想に踏み込む。二重構造、日本型雇用を変革する武器として、ベーシックインカムに注目している。ベーシックインカム自体は様々な媒体で論じられている。けれども、この本では、資本主義の構造問題に引きつけ、財源はもちろん、農業政策や中小企業支援にも議論を広げている。目が見開くというか、新たな視野が広がる感覚がした。

 筆者がこの問題を最初に扱ったのは、数年前のとある雑誌の論文だったと紹介されている。実はその雑誌論文も読んだ記憶があるが、そのときの感覚と、全く違う。当時は少し掘り下げ方が弱いかなと思った。今回はそういった感覚はまったくない。

 

長期停滞の資本主義:新しい福祉社会とベーシックインカム

長期停滞の資本主義:新しい福祉社会とベーシックインカム

  • 作者:本田 浩邦
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2019/07/15
  • メディア: 単行本