映画『ジャコメッティ』2017年。

 映画『ジャコメッティ』2017年。フランスの画家ジャコメッティが米国からモデルをよぶ。モデルとなる男性作家は著名画家に声をかけられ、喜びフランスへ。最初は1日の約束が、スランプでかけない。帰国日程は次々と延期される。ジャコメッティは、ボサボサの髪形、気まぐれな態度で、チクショーと言って投げ出す、近所の娼婦を呼び込み、気分転換にバーで飲酒。明らかにまともな雰囲気ではない。ただし、いかにも芸術家ののりが、よく出ていて、とてもよい。モデルとなる男性は整った顔、ビシッとしたネクタイにスーツ。その対比がビジュアル的に面白い。
 「肖像画には完成はない。終わりはない」とのニュアンスの発言が出てくる。それは論文にも通ずる。きっとむかしの研究者もこんなところあったんだろな、いまは時間に終われてそれどころではないな。そんなことを考えながら鑑賞した。全体として物語はたんたんと続く。大きな落ちがあるわけではない。登場人物は限られているが、その分当事者に関心が持てた。見ごたえのある作品だった。