BS1スペシャル「“全員リーダー”の組織論 帝京大ラグビー9連覇」(2018年1月28日放送)

 帝京大ラグビー部のドキュメント。再放送を見る。岩出監督就任後10年程度は大学選手権ベスト4前後。不祥事もあって、成果が出ない。連覇が始まる数年前から組織改革。体育会的な上下関係をあらため、寮生活で4年生が掃除など環境周りを行う。地方からやってきた1年生はラグビーに集中する。140人いる部員は、各自が目標を持ってプレーに集中する。チームスローガンは岩出監督就任以来、エンジョイとチームワーク。1年生は入部後に、1年後の短期的な目標、4年間の中期目標、将来にわたる長期目標を考えることが教えられる。
 岩出監督いわく、自分たちが主体的に動く、やるようになるのは、楽しくないとだめ。楽しければ、人間は動くし、やる気も出る。そのことが浸透していくうちに、前人未到の大学選手権9連覇を成し遂げる。メディカルケアも徹底している。毎月必ず血液検査をし、栄養士の指導のもとで負荷の状況を確認する。夏合宿では練習しすぎない。むしろ、怪我をしないで帰ることが目標。選手は合宿を通じて、自己をコントロールするすべを覚える。栄養士やスタッフに依存しすぎない自立心を身につける。
 岩出監督の体験談も印象的。自分の成功体験を指導者は採用しがち。体育会的な上下関係の体験者は、それが成功の条件だと勘違いする。そこから抜け出すのは難しい。練習を過度に強いるのは、指導者の不安の解消の手段であって、選手にはいい影響を及ぼさない。組織論としてみた場合、個人的には監督、学生リーダー、それ以外の学生の関係性構築に興味を持った。上から指導するだけやり方では、うまくいかない。指示待ち人間になることから脱却し、自分の組織の問題として考えうる。当事者の努力が組織に還元され、それが共有される。そうした成熟した関係、組織にいたるまでにどのようなプロセスがあったのか、その原理原則に関心を持った。