講義で見た保育士の仕事

 講義で、保育者の専門性とは何かを学ぶため、学年別ではなく縦割りの保育実践をする映像を視聴した。トラブル発生。責任感があるリーダーの5歳児がすべてを決めてしまう。4歳児は、自分できめたいと反発。

 先生対子どもの宝探しなのに、ある5歳児が勝手に先生チームになってしまう。気ままな行動をとることに対して、他の子供たちは満足しない。なんでそんなことしているのか、問い詰める。とうとう4歳児は泣き出してしまう。そこで保育士の女性が登場する。

 なぜそんなことをするのか、意見を聞く。「リーダーだけが決めるのはおかしい」と4歳児。やがて、他の子供たちも、自分で決めたい、リーダーの5歳児に従っただけだと、矛先はリーダーにいく。リーダーの5歳児も泣き出してしまう。保育士の女性は、その5歳リーダーにきく。「自分ですべて決めるのはつらかった」。そこで、他の子供たちは、どうしたらよかったのか話し合う。

 トラブル回避ではなく、トラブル発生時に人間性は磨かれる。いろんな考え方がある中で、自分の立ち回りを決めることができる。このあたりの信条で子どもたちに接していく。

 この映像のポイントは、こうした教育実践をする場合に一定程度の人的余裕が必要であるという点にある。主人公の保育士以外に、複数の保育士が、関わっている様子が見える。当然、時間もかかる。それが可能なのは、150人の子どもに対して、50人の保育士がいるから。

 外で遊ぶ、ご飯を食べる、こうした日常的生活がつつがなく進行することが可能な状態で、はじめてこうしたトラブル回避の実践が可能なのではないかと思う。基本的にマンパワーが一定程度用意されていることが、保育の質を規定する。そのあたりのことを考えさせてくれる。

 

野島千恵子(2016年6月20日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

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