NHKスペシャル731部隊の真実 〜エリート医学者と人体実験〜(2017年8月13日放送)

 NHKスペシャル731部隊。録画してみた。戦時中、対ロシアの拠点として作られた中国での細菌兵器の開発。細菌兵器の開発は条約で禁止されていたが、「防衛目的」であれば可能だった。日本から優れた医学者、研究者が集められ、細菌兵器の研究に邁進した。研究者の中には個人的に軍部から資金提供を受けたものもいた。あるいは、京都帝国大学京都大学)の医学部長は軍部から現在価値で2億円あまりの研究費提供を受け、東大や慶応大と競争する形で、研究者を中国に送った。中国ではスパイ行為として利用できないと判断された女性や子どもが人体実験の対象となった。なぜ、研究者たちは軍部との協調を進めていったのか、ロシアの音声データに基づく裁判記録をもとに検証していく。
 防衛目的であれば、細菌兵器の開発も許される。軍部から莫大な資金提供を受け、研究者が戦争のための人体実験を行う。これだけ聞くと過去の歴史的的事実を紹介しただけに終わりそうだが、この放送では、防衛省の軍事予算と学術会議での議論も紹介している。つまり、過去と現在の共通点を見出している。「防衛目的であれば研究も許される」。「自分は純粋に研究がしたいだけで、軍事や戦争を肯定していない」。そう考えて、防衛省の軍事予算にエントリーし、資金提供を受けている研究者はこれをみてどう思うのか。NHKスペシャルらしい、重みのある番組だった。

731部隊の真実〜エリート医学者と人体実験〜http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170813