映画『彼女の人生は間違いじゃない』

 『彼女の人生は間違いじゃない』。福島原発のあと、仮設住宅で暮らす父親と娘。母親を津波で失う。父親は毎日パチンコばかりしている。娘は平日は市役所で働くが、週末は高速バスにのって東京に出稼ぎ。風俗で働く。いつまでたっても仕事をはじめない父親に苛立つ主人公。隣の家の奥さんは被災地への言われなき差別で精神的に参っている。そんななかで、風俗店の店長が仕事をやめ、本当はやりたかった舞台に出ることを知る。晴れ舞台で活躍する元店長は輝いていた。途中、東京からやってくる大学生が卒論として取材にやってくる。薄っぺらい聞き取りで、上から目線の取材がなんともむなしい。解説もなく、事実状況が淡々と描かれる映画だが、みていて飽きない。むしろ、主人公の彼女や周辺の人々の気持ちが、胸をつきさすような感覚に襲われる。福島というフィルターを通じて、東京を批判している。そんなようにもみえる。