池上彰「何のための報道か」『週刊文春』2017年06月15日号。

 池上彰「何のための報道か」『週刊文春』2017年06月15日号。政権にとって不都合な人物は、テレビでスキャンダルな映像を流され失脚する。ロシアでよく起こる事態。民主国家である日本とは無縁と思っていたが、最近は様子が変。政権のダメージとなる文書を告発した元官僚のスキャンダルが報道される。直接的な犯罪の容疑があるわけでもない人が、社会面の目立つ場所に「前川前事務次官 出会い系バー通い」と報道される。従来の大手新聞社では決して記事にならないようなものが、紙面にでる。まともな報道機関なら、この時期に前川前事務次官のスキャンダル報道をすることの意味がわかる。「ちょっと待て」とブレーキをかける役割の人がいる。恥ずかしい思いをしている読売新聞の社員もいるのではないか。
 以上が概要。池上氏らしく読みやすい文書だが、この間の経緯をきちんと的確に批判している。穏やかな文体だが、内容は怒りに満ちている。池上彰もジャーナリストの1人として、メディアが時の政権の下請となっていることに怒っているのではないか。