NHKスペシャル「日本国憲法 70年の潮流〜その時、人々は〜」(2017年5月6日放送)

 NHKスペシャル日本国憲法70年の潮流。戦後日本で、憲法が国民にどう受け止められ、政治課題とぶつかってきたのか迫る良質のドキュメント。中曽根康弘河野洋平山崎拓らかつての自民党の中心的人物にもインタビュー。敗戦直後の憲法をめぐって大原社研の資料も紹介されている。
 1980年代初頭の中曽根首相誕生の時、国民の憲法改正の懸念の声強く、中曽根でさえも憲法を守ると明言せざるをえなかった。




 ところが、湾岸戦争あたりから、自衛隊の海外派兵の是非をめぐる議論加速していく。読売新聞を中心とする主要メディアや学者が憲法改正の試論を出し始める。ただし、依然として憲法改正の慎重論多いというのが当時の状況。国連から海外派兵を含む強い要請があったことに対し、宮澤総理は、「憲法をこえられない」と答えた。平和主義が日本を作ったし、定着している。当時官房長官だった河野洋平氏は述べている。




 2000年代、格差と貧困が拡大する。生活の不安を国家の強さと同一視する議論が高まっていく。この間、憲法改正の支持を伸ばしてきたのが日本会議。家族重視を憲法に明記する。あるいは国家あっての人権との主張を繰り返す。「国家が暴走することへの懸念強いのでは?」の質問に対して日本会議ブレーンで、国士館大・特任教授の百地章氏。国家は共同体であって、権力ではない。




 NHK世論調査では、9条改正反対が賛成を大きく上っている(9条を改正する必要ない」が57%「必要ある」が25%で、2倍以上の開きがある)。元参議院議長の江田五月氏。憲法と現実のズレに対して、憲法を活かす政治を。