防衛省の公募研究制度

 2017年度の軍事関係の予算。防衛省が武器開発に応用可能な研究費を大学に出し、軍事研究させる「安全保障技術研究推進制度」に110億円が計上されている。2016年度予算の6億円から、約18倍の増額である。防衛省の公募研究制度は、防衛省職員がプログラムオフィサー(PO)として内容を逐一チェックする。場合によっては委託研究を中止する場合もある。このことは稲田防衛大臣も国会で「当初の計画通りに進捗していない場合、委託研究を中止する場合があり得る」と答弁している。外部研究費とはいえ、科研費などともその性格がまったく異なる。軍事研究そのもの。POの役割については日本学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」でも問題視されている。山極寿一・京都大学総長。「研究者の中立性と自由な判断を阻害するものであり、到底受け入れることはできません」(第三回検討委員会、2016年8月24日)。

図 安全保障技術研究推進制度の組織とその役割

出所:阿曽沼剛(2015)「防衛省によるデュアルユース技術取組みのための新たな仕組み 『安全保障技術研究推進制度』の創設について」『CISTEC Journal』160号。