米国のトランプ政権、「科学的知見」へ懐疑心

 日本政府は憲法学者の大半の意見を無視して、集団的自衛権行使を解釈で可能にした。米国のトランプ政権は「科学的知見」への懐疑心を前面に出し、ワクチン等の廃止も視野に入れる。学問や科学的知見を軽視するという点では、両者は非常によく似ている。学問や科学が一部の特権エリートのものだと認識されいる状況では、こうした認識も一部で支持されうる(反知性主義)。学問や科学的知識、それらを担う知識人が、地べたに下りて市民と協働することが求められる。

 【ワシントン=川合智之】トランプ米政権の科学技術政策に、研究者らの懸念が広がっている。宇宙開発で実現可能性の薄い目標を掲げる一方で、ワクチンへの懐疑を表明するなど、科学的証拠を無視した発言を続ける。地球温暖化にも否定的で、関連する研究成果の公表は停止された。世界中の頭脳をひき付け、米国の国力の源泉となってきた科学に、逆風が吹き付けている

出所:『日本経済新聞』2017年1月30日付。