NHKスペシャル揺らぐアメリカはどこへ(2016年11月5日)

 NHKスペシャル揺らぐアメリカはどこへ。資本主義が特権階級のための仕組みであると理解する点で、サンダース支持者とトランプ支持者は同じ。ロバートライシュがインタビューに答える。反特権階級とは、反知性主義でもあり、根が深い。 かつて鉄鋼産業の労働者として働いた男性はリーマンショック後に職を失う。妻とも離婚し、子ども3人とも離れる。地域産業は疲弊し、展望がない。前回の選挙ではオバマに投票したが、今回はじめてトランプに投票。いわく、「彼なら地域経済を明るくしする。チェンジを成し遂げる」。


 奨学金の充実など若年者支援の政策をうちだすサンダース上院議員を支持した男性。若い人の職がない状況、これを打開するのはサンダースだと期待。ヒラリーは、討論会でも若者の雇用の問題言及しない。信じられていない。これは、ヒラリーがライシュがいうところの特権階級と見られていること。既存政党が有権者の支持を集め切れていない。泡沫候補と見られていたサンダースとトランプは想定外の伸びを見せた。これらの背景には、経済のグローバル化に伴う新自由主義が格差を貧困を生み出したという点がある。新自由主義への対抗軸が格差是正型ではなく、排外主義になびくというのは日本と同じ。
 移民労働者の増加に懸念を抱く白人の中間層。移民の多い街の高校ではバスケットボールの試合中に「トランプ」コールが起こる。移民系の高校生が新聞に投書したところ、ツイッターでは、『お前らがいるから、トランプを支持するんだ』との書き込みが。トランプ現象は欧州の極右政党にも歓迎されている。トランプの側近はイタリアやイギリスの極右政党の幹部とも交流。フランス国民戦線のルペンもトランプ支援。とまらない排外主義のうねり。

 大統領選挙の結果がでる前に放送された映像だが、トランプ現象の背景にある米国経済格差の現状と既存政党に対する国民の怒り、その様子を丁寧に取材している。米国の行方が不安になる映像だが、その姿は橋下維新の会や安倍政権を支持してきた日本と重なる。

https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161105