NHKプロフェッショナル仕事の流儀 野島千恵子(2016年6月20日放送)

 NHKプロフェッショナルで保育士特集をやっていた。舞台は幼稚園と保育園の混同の子ども園。異なる年齢の子どもがひとつのクラスに在籍する。例えば、5歳児は3歳児とチームを組んで、一緒に活動する。与えられた課題をチームで解決し、トラブル発生には保育士が積極的に関与する。異なる年齢のクラス編成というのは非常に新鮮だ。3歳児と5歳児が同席するから、おもちゃをとりあったり、意見が対立したりする。そのつど保育士は子どもの言い分を聞く。そして解決の道を考える。子どもたちで意見を出し合って解決の道を模索する。保育者と子どもの縦関係を軸にするのではなく、子どもたち同士の横関係を重視しているように見えた。
 自分のペースで生活しがちの困った感じの子どもが出てくる。保育士が両親と面談すると父は介護職で寝るときに帰ってくる。母親だけが育児にコミットしていて、夫婦で情報共有を図れない。悩んでいる。「子どものマイナスの面ばかり目に付く」とは父親の言葉。この子どものよさを周囲に聞き取りし、「他人の面倒を見ることもある」点に着目する。電車ごっこをしても先頭の自分が先に進んでしまう。1周だけといっても2周してしまう。でも、くぐるトンネルを増やしたり、子どもたちに協議させたりして、なんとか無事に終わらせる。参観していた母親は、こうした子どもの姿を目の当たりにして最初は顔がこわばっていた。けれども最後は笑顔。「思ったよりはよくやっていた」と。
 保育園は単なる子ども預かり所ではない。子どもの発達と成長を担う教育の場所である。ただ、言うのは簡単だが、年齢の異なるクラス編成は手間隙がかかる。保育士の人数も必要だし、時間がかかる。なにより効率的ではない。けれども、子育てについてヒントが多い番組だった。お勧め。


NHKプロフェッショナル仕事の流儀 野島千恵子