三浦まり『私たちの声を議会へ――代表制民主主義の再生』岩波書店、2015年。

私たちの声を議会へ――代表制民主主義の再生 (岩波現代全書)

私たちの声を議会へ――代表制民主主義の再生 (岩波現代全書)

代表制民主主義の機能不全とも呼べる現状に対して、どのようにしたら「私たちの声が議会に届くのか」。このことを近代代表制民主主義制度の意味を振り返りながら、また、戦後日本の政治展開を振り返りながら考察をしている。熟議民主主義という言葉を使っているように、筆者は「手続き的民主主義さえ整えば、結果に対してはすべて受け入れる」という立場を必ずしもとっていない。民主的手続きを踏まえることが、意識決定方式に正当性をもたらす。このことは当然としても、仮に手続き的に正当であっても、侵すことのできない人権や価値観等がある。本書ではそうしたことを具体的に展開しているわけではないが、そのような議論も理解可能なところまで踏み込んでいるとの印象を持った。