本の読み方と論文の書き方(学部生向け)

以下はツイッターで言及したことをまとめ、ゼミで配布したものです。

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●本を買うということ
 本屋は定期的に回ることが必要。知らない文献に目を通し、見たことのある文献を再度読み、そして時間をゆっくりしながら、日々の喧騒とは違う時間を楽しむ。その過程で、思考をめぐらせ、鋭気を養う。普段の仕事や授業が忙しいからこそ、こうした時間が絶対に必要だ。いや、人類の叡智にとって必要だ。あと、本を買わないのは絶対に教養人になれない。僕は学生には本を貸したりするけれど、きちんと読むべき本は買うように言っている。それを実行できない場合は、自分の成長を阻害するのみ。新書が購えなければ、ブックオフに行って新書の105円コーナーをぶらつけばいい。授業で紹介された、あるいは聞いたことのある文献を10冊でもかい、自分の本棚に埋め込む。こうした努力をしていない若者が、どうして将来を展望できようか。授業のレジュメを作成するだけではだめ、だめというのは力にならない。時間がないのをいいわけしてはいけない。年を重ねればもっと時間がない。何に優先順位を付けるのか、友人との関係も維持しつつ、きちんとプライオリティを考えられる人間にならないと、あっというまに卒業である。

●論文の書き方①(ノートのとり方)
 原稿の締切があると、全体のテーマに適合的な資料を都合よく整理してしまうことがあるかもしれない。そういった場合には、一度それで原稿を書いてみて寝かす。そのあと、再度「締切」とは別にその資料を熟読してみる、こうしたことが必要だと思う。それを避けるために、ノートをとる。これは論文や資料の書き写しでもいい。できれば、論文などの論旨を踏まえつつ取る。Wordなどで作成すると、あとで引用するときに便利である。このノートを元に原稿を書けば、書き写しにならない。ある文献を元に、自分の解釈を入れることがはっきりする。個人的には原稿を書く際に、原稿本文とは別の「ノート」を推奨する。以前も紹介したと思うけれど、ある本や論文を横に置きながら、原稿を書こうとすると、どうしてもその原稿の書き写しになってしまう。

●論文の書き方②(引用の方法)
 コピーした論文とかで、うっかり雑誌名をメモするのを忘れてしまって、『  』の部分が参考文献でかけないようと困った場合には、サイニイ(URL)でタイトルを検索してください。論文名がわかれば雑誌名分かります。この技は書籍では使えません。書籍の一部をコピーする場合には、必ず本の最後の書誌情報もコピーする癖をつけましょう。10円をけちってはいけません。資料が集まり、原稿を書く段階になったら、執筆前に参考文献リストを作りましょう。あいうえお順で、論文や新聞や書籍の一覧を作る。そうすると何で勉強してきたのか、どの論文を参考にこの文章を書いているのか、意識され、「剽窃」が防げるでしょう。また論文のメモを取ったノートも忘れずに。考文献リスト、参考文献のノート(手書きでもいいが、Wordなどのメモを勧める)をもとに原稿を書こう。その際、できるかぎり元の参考文献はみない。メモのみから書くことがこつ。元の参考文献を見ると書き写しになり、自分の考えがまとまらないことがあるから。一通り文章書いたら、脚注とか内容とかを整理。必要であれば、新たな参考文献を探す。これで原稿が書けるはず。

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