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この自由な世界で [DVD]

この自由な世界で [DVD]

講義の締めくくりに、『この自由な世界で』(ケンローチ、2007年)を見ていく。18日は奇しくも松下PDP事件の最高裁判決(派遣先の雇用主責任を認めず)と厚生労働省労働政策審議会部会の労働者派遣法改正案も同時に提出された日。最高裁判決は、現行の派遣法の問題点を浮き彫りにする。同時に、新たな改正案は均等待遇や派遣先の雇用主責任などより踏み込んだ規制内容になっている。こちらもあわせて紹介していく。

主人公のアンジーは会社をひょんなことから首になり、友人と職業紹介(あっせん)の仕事を行っていく。移民中心の職業紹介で、移民はイギリス人に比べて低賃金でも働く。そして、「不法移民」がより儲けることを知り、違法であると知りながら不法移民の職業紹介に手を出していく…。きっかけはイランからの不法移民を手助けしようと仕事を紹介してから。賃金を支払うことができなかったり、移民労働者から取り囲まれたりと次第に環境が悪くなっていく。そして事件が起こる…。

というようなお話。感想では、「派遣労働の見方が変わった」とか「衝撃的だった」とか「すごい映画」とかがある。「一般的から外れる人(シングルマザー、移民)は幸せになれないのだろうか」という問題提起もある。「移民労働の問題は日本では考えられないが」とのコメントもあるが、外国人労働者の存在は実際にも存在する。どのような世界に生きているのか、何をすれば他人事ではなく、仕事の意味を考えることができるのか、を考えさせる映画であった。受講生の顔を見ているとぐんぐん見入っている顔も多数。いい映画はテーマ設定とともに人を引き付けるのだなとあらためて思った次第です。